大学入学共通テスト分析 数学
今年度、センター試験から共通テストに変わりました。
数学においては
・事象の数量等に着目して数学的な問題を見出すこと
・構想、見通しを立てること
・目的に応じて数・式・図・表・グラフ等を活用し、一定の手順に従って数学的に処理をすること
・解決課程を振り返り、得られた結果を意味づけしたり活用したりすること
がより重要となっています。
具体的には
・日常の事象を扱う
・数学の良さを実感出来る
・教科書で扱われていない数学の定理等を、基礎知識を活用しながら導く
ような題材が増加しています。
【問題分析】
数ⅠA
第1問 2次方程式・図形と計量
〔1〕は2次方程式の問題で少しひねっている面もある。
〔2〕は図形問題の良問で気づくのが難しいかもしれない。
余弦定理・正弦定理やsin(180°-θ)の使い方がポイント。第1問の小問としては難しい印象。
第2問 2次関数・データの分析
〔1〕は現実の事象を数式化する問題。
冷静に考えればストライド×ピッチが速度であることがわかる。
あとは1次関数や2次関数をしっかりと事象に再現すればいい。
〔2〕は箱ひげ図・ヒストグラム・散布図の読み取り力がポイント。
分散や偏差・相関係数の導出がないので楽だったかもしれない。
第3問 場合の数と確率
条件付確率の公式を知っていれば解ける問題。
(4)は条件付確率が実際にどう生かされるかが問われている。
第4問 整数の性質
1次不定方程式の整数解。
(1)(2)は普通の不定方程式を求める手順。
xとyは回数なのでこれも現実の事象に合わせた問題。
(3)は(4)の誘導となっている。
(4)はきれいな等式に持っていけるわけではなく、泥臭くしかも下の選択肢内から選ばないと時間内に終わらなくなる。
第5問 図形の性質
例年難しいものが出る分野で、今年も例外ではなかった。
三角形が円に内接し、さらに題意に沿った別の円を描く、など図形の書き方が正確でないと直感が働きづらい。
交点・内心を通る直線・直径になる辺など冷静に考察すると鍵となる事実が作図で分かる。
数学ⅡB
第1問 三角関数、指数関数・対数関数
〔1〕三角関数の合成と加法定理の問題。
(2)はPという定数の扱いが難しい。コサインの式を導出する際に加法定理を用いるが、三角関数の合成の導出過程を理解していないと苦しいかもしれない。
最大値の求め方に工夫が必要なので視点を切り替えること。
〔2〕指数関数と三角関数の加法定理の類似性を問う問題。
(3)はそのまま素直に(2)の式や(1)の値を利用して矛盾するものを消していけばいい。
第2問 微分法・積分法
例年なら計算量が膨大で苦しめられる分野だが、計算がかなりシンプルになっている。
得点しやすかったものと思われる。
(第3問 確率分布と統計的な推測:省略)
第4問 数列
与式は複雑だが、anとbnは単純な等差数列と等比数列。階差数列や、漸化式・群数列は出てこないので、難しくはない。
文字の扱いや計算の正確さが試された問題。
第5問 ベクトル
正十二面体の性質を問う問題。
誘導に従って内積の分配法則などに気をつければよく、ひねりはそれほどない。
【平均点】
2021年度の数学ⅠAは57.68と
2020年度の51.88と比べて5.8ポイント上がりました。
2021年度の数学ⅡBは59.93と
2020年度の49.03と比べて10.9ポイント上がりました。
【総括】
数学ⅠAは難問もありましたが数学ⅡBに関しては計算量が減って簡単になったもようです。
公式の成り立ちや、習っていない事象をこれからも問われるものと思います。
福島県家庭教師協会 相馬事務局 教師:加藤 好信