「リビング学習のススメ」
子どもが家で勉強する時、子ども部屋ではなく、家族が集まるリビングを使うご家庭が増えています。「東大出身者はリビングで勉強していた」などの話が教育雑誌などで広まり、積極的にリビング学習を取り入れるご家庭も増えてきました。今回は、リビング学習の効果と注意すべき点について紹介していきたいと思います。
(参考文献『プレジデントファミリー』)
◆ リビング学習の効果
かつては、勉強は静かな子ども部屋のほうが集中できるという考えが、当たり前に信じられていました。ところが近年では、リビングで勉強していた子どものほうが、成績が伸びやすいという結果が出ていることで、リビング学習が話題になっています(小学生の2人に1人はリビング学習をしているとも言われています)。リラックスできるリビングだからこそ、少々雑音があっても学習効果が高いようです。
リビング学習でとても大切なことは、勉強している子どもをほめることです。たとえ、リビングで勉強していても、叱ってばかりでは逆効果です。頭ごなしに「こんな漢字も書けないの!?」「計算遅いね!」などと言われたら、『勉強=苦手なもの・辛いこと』と記憶され、勉強が嫌いになります。そこで、「丁寧に字を書くね」「計算早いね」など、何でも気付いたことをほめることで、『勉強=得意なもの・楽しいこと』と記憶され、勉強が好きになります。ほめることが勉強に良い影響を与えるだけでなく、親子間にも良い影響を与え、親子の信頼関係を深めることに繋がります。
さて、リビング学習は何歳ぐらいまで続ければよいのでしょうか?明確な答えはないかもしれませんが、子どもの成長に任せればよいと思います。勉強が難しくなると『聞いても当てにならない』と親を見限るようになります。また、自室にこもって集中できるのも、大学受験に向かう時のような自立した年齢になってからだと思います。
リビング学習をすれば必ず学力がアップするということではなく、注意すべき点もあるようですので次に記載したいと思います。
◆ リビング学習で効果をあげるために守るべき4つの注意点
リビング学習の効果は、4つのポイントに注意することでアップさせることができます。
1.質問されたらきちんと答えてあげる
子どもから質問されると、つい「今、忙しいからあとでね」「よく考えてみて」「辞書で調べなさい」と言ってしまいがちです。これではリビング学習の効果はダウンしてしまいます。たとえ忙しくても、子どもが質問してきたら手を止めて応対してあげることが大切です。子どもと一緒に考えてあげることで、子どもへの信頼とやる気を与えることに繋がります。
2.それなりの配慮をする
テレビを消したり、ヒソヒソ話をしたりするほど静かにする必要はありません。ある程度の雑音や人の気配は集中力を高めるのでとても良い効果があります。だからといって、大音量にしたり、子どもの視野にテレビが見えたりするのはNGです。もし、子どもからテレビが見えるならパーテーションで隠すなどの配慮は必要だと思います。
3.子どもの真正面に座らない
食卓で勉強する子どもも多いと思いますが、おうちの人が正面に座ると子どもは何か言われるんじゃないか」という気持ちになることもあります。間違っていないのに何か怒られるような、威圧感を感じることがあるので、子どもの真正面には座らないようにします。座る場合は、隣か斜めの席に座るとよいです。
4.姿勢が悪くならないように気をつける
食卓で勉強する場合、姿勢にも注意が必要です。食卓で足が床につかないでブラブラしている子どもや、やたらと前かがみになってしまう子どももいます。骨格や目に悪い影響が出ないように、クッションを置くなどして座高を高くしたり、足置きを置いたりするなどの工夫が必要です。
◆最後に
子どもが幼稚園の年長になると、親たちの間で話題になってくるのが学習机。ほんの10年前までは、ランドセルと共にお祝いでもらったり、準備したりするのが当然でした。ところが近年は、椅子や収納用ラックだけを購入する親が増えているようです。子ども部屋ではなく、家族がいるところのほうが落ち着いて勉強をすることができる、ということを反映しています。つまり、『どこで』より『どのような環境で』勉強するかが重要だと考えられているということです。子どもは親にかまってほしい気持ちを持っています。幼い頃から子ども部屋が居場所になってしまうと、親子の信頼関係が薄くなってしまうという一面もあると思います。リビング学習は、『親子のコミュニケーションツール』の一つにできると思います。
郡山事務局 教務部 佐藤 克浩